「黒い絵」テクスト続き 4/28にみたもの
此処は家。
此処は貴方。此処は私ではない。
私の知らない此処に居る私。
カコは、消えた?
ありもしない、すべて想定内だから。
忽然と、消えた?
どこへ行った。光の、昼。
あの奇妙な歌は何者か。あの奇妙な混食は何か。
ヒトは奏でない?
そこに、その背中に、弦を耕すことはない?
なぜなら、あなた、眠っている!
私の見ぬあなた、沼、いつから浸っていた?
私の場所は破れたまま、横に広がって、もう手が届かない。内蔵のキーボードは限界だ。指の間がちぎれてしまいそうだ!
私は、診察する。遠い立場から。
全く、"セキニン"の無い、あの窓辺から、それを細かく見ているの。
触れない、突き刺さる声と歌。え?
そこは流れた。流れてしまった?
流してしまった。
無かった夢を、流してしまった。
在る物しかない此処から、無かった夢を、流してしまった。
貴方、どうして光の中に居る?
こちらを向いて、奏でてよ。
手の中、揺るぎ無い。
私、黒い絵を握ってた。
しわくちゃの黒い絵は、私の視界から、溶けた。
もう滲まない 。
雨後。
〔by 渡川いくみ〕